Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、貯水池等の河川構築物が水質の不連続性が河川および海域の生物生産に及ぼす影響について、現地調査および既存データの解析により評価を行った。島根県斐伊川水系の5基の貯水池下流、および天塩川水系の最上流部にある岩尾内ダム湖を対象として調査を行った結果、貯水池直下流では、1)融雪期の濁水貯留による河川下流域の濁度の増加と長期化、2)融雪水の希釈放流に起因する夏季の水温低下、3)貯水池表層における植物プランクトンの発生にともなう下流河川栄養塩類濃度の不連続的変化、4)秋期の貯水池水位の低下に伴う堆積物の巻き上げによる河川下流域の濁度の増加、などの水質変化が確認された。このような貯水池下流域における水質の変化は、下流にゆくに従い支流の合流により緩和され、不連続結合の影響が及ぶ範囲は数キロから10km程度と推定された。また、河川下流域の河川構築物による水質不連続性の評価として、分流のための潮止堰下流の河川感潮域を対象とし調査を行った結果、堰下流域では潮汐の阻害により河川水と海水の混合力は弱く、わずか2kmから3kmの間に急激に塩分が変化する水域が形成されていた。そのため、汽水域に由来する植物プランクトン群集は見られず、上流からの淡水性藻類の流下と塩水とともに侵入する海洋性植物プランクトンが見られ、両者の明確な境界が形成されていた。また、この様な境界域では、光合成活性も低下するため、植物プランクトンの種組成という点だけでなく、一次生産速度の不連続ももたらされていることとが明らかとなった。また、暗渠による分流や下流域への放流の影響は、これまで、瀬切れ等の局所的な問題として扱われてきたが、水質や物質輸送の不連続性という観点でも、流域全体に与える影響が大きいことが推測された。
All 2009 2008 2007
All Journal Article (8 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (8 results)
ホシザキグリーン財団研究報告 12
Pages: 309-313
Molecular Ecology Resources 8
Pages: 1497-1499
ホシザキグリーン財団研究報告 11
Pages: 205-210
日本陸水学雑誌 68
Pages: 41-49
島根大学地球資源環境学研究報告 26
Pages: 1-9
120005586300
汽水域研究 14
Pages: 25-31
保全生態学研究 12
Pages: 60-65
不知火海・球磨川流域圏学会 1
Pages: 49-53