Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
分裂酵母のゲノム上に散在するspCRE(S__-.p__-ombe c__-AMP r__-esponsible e__-lement)配列は、それを認識するAtf1/Pcr1ヘテロダイマーを介して、ストレス応答、細胞周期のG1停止、組換え活性に影響を与える。また、ヘテロクロマチン中に存在するspCREは、やはりAtf1/Pcr1を介してヘテロクロマチンの構築に関わる。本研究では、このAtf1/Pcr1が如何にして環境変化への応答に貢献するのかを解析している。前年度までに、Atf1/Pcr1の新規標的遺伝子として分泌型マルターゼをコードするagl1遺伝子を同定し、その発現誘導に応じてヒストンとRNAポリメラーゼIIの量的な変化が起きることを確認した。また、agl1のプロモーターにspCREが存在しないため、その制御機構が不明であった。本年度は、マイクロアレイを用いたゲノムワイドなトランスクリプトーム解析行い、主にDNA配列の観点からatf1の標的遺伝子の解析を行った。グルコース条件下でatf1依存的に抑制される遺伝子、マルトースへの糖源変更後に誘導される遺伝子、およびマルトース条件下でatf1依存的に発現する遺伝子では、-1200bpから-1bpまでの上流だけでなく、開始コドン(+1)から+600bpまでのCDS中にもspCREのコア配列がエンリッチされた。上流4.6kbの遺伝子間領域にspCRE様配列が見つからなかったagl1も、CDS中にspCREのコアが見つかり、どうやら遺伝子内のシスエレメントによって制御されることが示唆された。また、Atf1/Pcr1とMediatorサブユニットであるMed7のChlP解析を行ったところ、agl1などの標的遺伝子では、プロモーターからCDSにかけての広範囲にわたってこれらのタンパク質の物理的相互作用が見いだされた。この事から、シス配列を認識する転写因子であるAtf1/Pcr1と転写開始に重要だと考えられているMediatorは、転写ユニット全体に意味のある相互作用を及ぼすと思われる。加えて、今回のマイクロアレイ解析の結果は、Atf1がアクディベーターとリプレッサーの両方の機能をもつことを示しており大変興味深い。
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