Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
研究の目的は,近年,論じられるようになったヒトとハトの視覚認知に関する種差が,系統発生的な差によるものかを検討することである。ヒトとハトは視覚を主な感覚モダリティとする点で類似しているが,形態の全体処理,部分処理に関して,ヒトは前者,ハトは後者に相対的な重要性をおいている点で異なっている。本研究は,ヒトとハトに加えて,チンパンジー,フサオマキザル,ハシブトガラスにおいて視覚の全体,部分処理を検討した。 実験パラダイムとしては,パターン優位性効果を用いた。ヒトは,「/」と「\」を弁別する場合よりも,これらの要素に「L」字の文脈が付加された場合に,弁別要素と文脈の組み合わせにより創発される全体特徴によって弁別が容易になる。本研究では,チンパンジー,フサオマキザルがヒトと同様のパターン優位性効果を示す一方で,ハトとハシブトガラスは逆に,文脈付加が弁別を困難にするというパターン阻害性効果を示すことを明らかにした。これらの結果は,鳥類は,要素の集合体として全体情報を知覚しているのに対して,霊長類は要素の組み合わせにより創発される全体情報を近くしていることを示唆している。これらの結果は,機能的には相同の霊長類と鳥類の視覚認知が,メカニズムとしてはかなり異なる処理をしていることを明らかにした点が重要である。また,本研究派,霊長類にとって困難な視覚課題が,必ずしも鳥類にとって困難ではないことを示唆し,今度どのような選択圧によって視覚のメカニズムがどのように適応していくのかを解明することが期待される。
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