Research Abstract |
等式・不等式条件下で多くの候補の中から評価値が最適であるような解を求める,いわゆる最適化手法の開発が長年の研究テーマとなっている.最適化手法は,制御,金融,通信,設計など様々な分野で利用され,とくに目的関数の形状が多峰性で多数の局所的最適解を持つ場合の大域的最適化手法の開発が強く求められている. 本研究では,大域的最適化手法の中でも,カオス力学系などのいわゆる非線形力学系モデルを計算モデルとして用いる最適化手法に注目し「非線形力学系モデルを多体系へ展開した新たな最適化手法」の開発を目標に研究を行った. 具体的には (1)カオスモデルを中心とした非線形力学系最適化モデルに対する定量的考察とそれに基づく改良手法の提案 (2)非線形力学系モデルを駆動モデルとして自律探索を行う複数の探索点によって形成される多体結合非線形力学系における優秀探索点への同調現象を利用した最適化手法の提案 を中心に研究を行い,その成果として,高次元多峰性関数に対して,従来法と比較して極めて有効な大域的最適化手法を複数提案するに至った.これら成果に関して,国内学術論文誌採録論文2編,査読付国際学会講演1件,国内学会講演2件の発表を行い,このうち(2)に関する研究発表について「計測自動制御学会システム・情報部門部門賞学術奨励賞」を,(1)に関する研究発表について「計測自動制御学会学術奨励賞研究奨励賞」をそれぞれ受賞した.また,(2)に関する論文1編を英文論文誌へ現在投稿中である. さらに,多体力学系を用いた最適化手法に関する研究の一環として,非負正規化等式制約,いわゆる,シンプレックス制約上におけるゲーム問題に対し,そのNash均衡解を求める多体勾配力学系の導出を行い,この多体力学系が進化ゲームにおけるレプリケータダイナミクスと等価であることを示した.この研究成果に関しては,国内学術論文誌採録論文1編の発表を行った.
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