E.フッサールを中心とした初期現象学における言語論・事態論の再検討
Project/Area Number |
06J06045
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植村 玄輝 Keio University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | フッサール / 初期現象学 / ライナッハ / インガルデン / 事態 / 言語表現 / 志向性理論 / 超越論的観念論 / 現象学 / 言語哲学 / 志向性 / 意味 / 命題 / 作用 |
Research Abstract |
本年度の研究は、(1)事態論を含むフッサールの志向性理論についての初期現象学における議論を踏まえた検討、(2)フッサールの言語表現論の展開についてのライナッハの議論との対比による考察、という二つの課題のもとで行われた。(1)に関しては、以下の点が示された。第一に、フッサールの超越論的観念論と初期現象学派の形而上学的実在論の対立は、適切な解釈のもとでは、不毛でないばかりか、それを考察することによってさまざまな洞察を得ることができるような対立である。第二に、上述の主張はフッサールの超越論的観念論の形而上学的解釈を前提としているが、そうした解釈は、フッサールを信じがたい考えの持ち主にするわけではない。第三に、形而上学的に解釈されたフッサールの超越論的観念論(すくなくともその初期形態)は、マイノング主義近しい関係にあり、デイヴィド・ルイスの様相実在論との比較検討を要請するような立場である。また、これら一連の研究を通じて、後期フッサールにおける超越論的観念論の展開を、可能主義から現実主義へという様相の形而上学における立場の変更として解釈する見通しが得られた。(2)に関しては、フッサールの言語表現論の発展をライナッハからの批判への応答という観点から詳細に検討するという昨年度に得られた見解を、より説得的で詳細なかたちに仕上げることができた。具体的には、フッサールの言語表現論の展開が、発生的現象学の成立と深い関係にあることを示し、言語表現論がフッサールの思想の発展において演じている中心的な役割を明らかにした。以上の成果は、フッサール・現象学研究に対して新たな観点を提供するばかりか、現代的観点からの検討に値する議論を示すことに成功している。フッサールと初期現象学における言語論・事態論の再検討という課題は十全に達成されたと言っていいだろう。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)