コバルト及びロジウム酸化物のスピン状態変化と物性制御
Project/Area Number |
06J06448
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics/Chemical physics
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 利晃 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2006 – 2007
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | コバルト酸化物 / 異常ホール効果 |
Research Abstract |
酸素欠損型ペロブスカイト構造をもつTbBaCo_2O_<5.53>の多結晶試料のホール抵抗ρ_Hの温度、磁場依存性を幅広く測定し、noncollinearな磁気構造と異常ホール抵抗の振舞がどのように関連しているか、詳しく調べた。 TbBaCo_2O_<5.53>はある温度領域で磁場Hを印加すると、反強磁性(AFM)相から強磁性(FM)相への移り変わりが見られる。その温度領域でρ_Hの磁場依存性を測定した結果、AFM相とFM相の共存領域で、ρ_Hが従来考えられてきた現象論的な式ρ_H=R_0H+4πR_sM(R_0,R_sはそれぞれHに依存しない正常、異常ホール係数、M_<Co>はCoの磁化)では説明できない特異な振舞を見出した。我々は、ρ_HとM_<Co>のデータを用いて、R_0Hと残りの異常項を分離してみて、R_s=(ρ_H-R_0H)/(4πM_<Co>)の式から磁場の依存性を許した形の異常ホール係数R_sを求めてみた。その結果、AFM相とFM相とが磁場の増大とともに入れ替わるtransition region(AFM+FMの領域)で、R_sがピークを持つことがわかった。 このR_sの振舞に他グループによって提唱されたスピンカイラリティー機構が関与しているのか、共同実験者が決定した磁気構造をもとに考察してみた。AFM相では、ab面内以外に磁場を印加したとき、局所カイラリティχ(=S_1・S_2×S_3)がnonzeroになるが、一様カイラリティχ_0(局所カイラリティXの和)はゼロである。また、FM相ではどの方向に磁場を印加してもχ=0である。そこではカイラリティによるρ_Hの寄与は期待できない。しかし、AFM+FMの領域では実験的にR_sが大きくなっているので、ランダムネス等が何らかの意味で役割を果たして、カイラリティ機構がρ_Hに寄与している可能性が否定できない。類似のR_sの異常は、有限磁場で有限のχ_0をもつと思われるリエントラントスピングラス系SrFe_<1-χ>Co_χO_<3-δ>でも観測されており、このことも上記の考えを支持するようである。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)