Project/Area Number |
06J06778
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
杉山 清佳 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経回路発達研究チーム, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 臨界期 / 視覚野 / 眼優位可塑性 / 弱視 / GABA / ホメオ蛋白質 / 介在ニューロン / Otx2 / Parvalbumin / homeoprotein |
Research Abstract |
右目と左目、どちらの目からの視覚情報が視覚野において優位に処理されるか(眼優位性)は、幼児期の限られた時期(臨界期)に方向付けられる。臨界期は、個体が周辺の環境に応じて脳を構築するための重要な時期と考えられ、言語の習得も臨界期のなかでは容易である。 臨界期が生後の脳に誘導されるためには、大脳皮質の抑制性介在ニューロンの発達が不可欠であることが、マウス視覚野を用いた解析により報告されている。さらに本研究において、特定の介在ニューロンの発達を促すOtx2ホメオ蛋白質が発見され、このホメオ蛋白質が細胞非自立的に介在ニューロンに作用して臨界期を誘導することが明らかになった。ホメオ蛋白質の介在ニューロンに対する作用は、gain of functionとloss of functionの両方向から分子細胞生物学的に解析され、また臨界期誘導の有無は電気生理学的手法により明らかにされた。一連の研究成果は、現在主要雑誌に投稿中である。 臨界期に見られる脳の柔軟性(可塑性)は齢を重ねるとともに失われていく。面白いことに、ホメオ蛋白質は、介在ニューロンをさらに成熟させ、脳の可塑性を抑制する可能性がある。介在ニューロンの周りを取り巻く細胞外基質は、齢とともに増加することが知られている。細胞外基質を酵素分解すると、成体脳に臨界期様の可塑性が再誘導される。ホメオ蛋白質は、細胞外基質と結合することにより介在ニューロンに取り込まれると推測され、細胞外基質を分解するとホメオ蛋白質も消失する。逆に、Otx2ホメオ蛋白質のノックアウトマウスでは細胞外基質の増加が遅延する。ホメオ蛋白質と細胞外基質は相互に発現を促進しあい、成体脳において介在ニューロンの成熟を制御すると予想される。今後は、成体脳におけるホメオ蛋白質の作用と、細胞非自立的なホメオ蛋白質の動態を明らかにしていく。
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