低磁場時間分解ESR装置の開発と生体分子ラジカル対系におけるスピンダイナミクス
Project/Area Number |
06J06998
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三浦 智明 Shizuoka University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ラジカル対 / 磁場効果 / ミセル / 逆ミセル / パルス磁場 / ESR / 交換相互作用 / 電子移動 / 低磁場 / 低磁場時間分解ESR / 生体分子 / ナノ秒磁場スイッチング / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
引き続き低磁場ESRの開発を行ったが、カップリング回路不良、レーザーノイズなど多くの問題があり、シグナル検出には至らなかった。しかしながら、ナノ秒パルス磁場を用いた過渡吸収測定から得られる低磁場でのスピンダイナミクスの解析から、定量的にスピン間相互作用、分子運動に関する情報が抽出できることが明らかとなり本法に基づく研究を重点的に行った。まず前年度に引き続きミセル中の一重項ラジカル対のスピン混合過程に関する理論的解釈を進めたが、各種スピン間相互作用がミセル内の分子運動によって揺らぐことによって引き起こされる緩和過程に関して、モンテカルロ法を用いた理論計算から定量的に議論した。その上でナノ秒パルス磁場効果によって得られた低磁場におけるスピン混合過程のシミュレーション、および高磁場におけるESRから求まった位相緩和時間との比較を行い、ミセル内の拡散係数が求まった。また、本系のラジカル対の交換相互作用が小さく再結合性が低くなっていることが明らかとなった。二つ目の成果として、従来、ラジカル対の各種緩和過程を含めた定量的な議論が難しかった低磁場効果に関して、ナノ秒パルス磁場を用いて実験的に低磁場効果を消失させる方法を確立した。これにより、低磁場効果力が発現する系においても通常の磁場効果と同様のシミュレーションが可能となり、より多くの長寿命ラジカル対系においてスピン間相互作用や分子運動に関する検討が可能となった。これまで得られた低磁場スピンダイナミクスに関する知見をもとに、タンパク質表面の束縛水反応場のモデル系として、逆ミセル中の電子移動反応に関する検討を行った。磁場効果の大きさはウォータープールの内径に大きく依存したが、磁場効果に見られる各種緩和の効果から、束縛水領域に2つのサイトが存在することが明らかとなった。2つのサイトの環境場の違いについて詳細な検討を行っている。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)