グラファイト基板上のHe吸着膜等を用いた静摩擦・動摩擦状態の研究
Project/Area Number |
06J07678
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Nanostructural science
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
細見 斉子 The University of Electro-Communications, 大学院・電気通信学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 摩擦力 / ヘリウム / 吸着膜 |
Research Abstract |
本研究は,『静摩擦状態と動摩擦状態を決める因子は何か』を実験的に明らかにすることを目的とし,グラファイト基板上のHe吸着膜(He/Gr)等の界面摩擦の振る舞いを調べてきた.実験手法として水晶アイクロバランス法を用い,主にグラファイト基板上にHe膜を面密度を厳密に制御しつつ吸着させ,0.3Kから2Kの温度範囲で測定を行った.グラファイト基板上の^4He吸着膜は,面密度の増加に対して5原子膜以上まで層状に成長することが知られている.本年度は,^4He/Grの^4He吸着膜厚毎に特徴的な摩擦の振る舞いが現れることを明らかにした.^4He吸着膜の摩擦力は非常に小さく,吸着1原子膜ではほとんど働かないが,吸着4原子膜程度までの膜厚の変化に伴い階段状に増加する.吸着膜が固体的である2〜3原子膜程度では,基板と吸着膜,吸着膜の各層間に異なる摩擦力が働くとしたモデルを用いて,各層間に働く摩擦力を求めることに成功した.さらに,^4He吸着4原子膜において,吸着第4層が超流動となると同時に摩擦力が増大することを見いだした.この^4He吸着第4層が超流動となる直前の面密度においては,摩擦力が減少したのちに急激に増大する.これは超流動膜が不活性な膜の摩擦を増大させるということを意味する.これらの実験事実は,吸着膜の動摩擦状態は吸着膜中のディスロケーションによって起こされるという可能性を強く示唆している.この研究成果は摩擦のミクロなメカニズムに重要な知見を与えるものである.
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)