Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
平成18年度より,希土類四ホウ化物RB_4系の結晶構造から予想される磁気フラストレーションの影響に着目し,複数のRB_4(R=Gd,Tb,Tm,Er)に対して磁化,磁気抵抗,比熱などの物性測定を進めてきた. 特にTmB_4はT_<N1>=11.7K以下で反強磁性秩序を示し,T^*=10.7K,T_<N2>=10.0Kで逐次相転移を示す.また,T_<N2>以下の磁化過程にはc軸方向,c面内に1/2M_sプラトーが存在するだけでなく,1/8M_s,1/3M_s,2/3M_s,3/4M_sの多くの分数プラトーが存在する.磁気的フラストレーションをもつ物質では,一般に磁化プラトーの多数出現する例が多くある.本年度は,TmB_4の単結晶磁場中中性子回折実験から,その分数磁化プラトーの出現機構を探り,プラトー出現に対する磁気的フラストレーションの寄与を調べた. 回折実験より,零磁場下では,T<T_<N2>の秩序相(IV相)の磁気構造の波数ベクトルはk_4=[1,0,0]であり,T_<N2><T<T^*(III相)とT^*<T<T_<N1>(II相)の中間相ではそれぞれk_3=[0.8774,0,0]とk_2=[0.8774,0.031,0]であった.指数0.8774(〓1/8)は,磁気構造が結晶構造の約八倍の長周期であることを示す. また,磁場中において,c軸方向の分数磁化プラトーの現れる磁場領域では長周期磁気構造の形成を示す磁気反射が現れた.その周期は,結晶構造の8倍,もしくはその近傍の反位相長周期であり,零磁場下のII・III相で観測された周期とほぼ等しい.そのため,磁化プラトーの出現とII・III相の長周期磁気構造の形成原因は同じものと考えられる.前述のように,II・III相では,粉末中性子回折実験から長周期磁気反射ピークと共に磁気散漫散乱も観測している.磁気散漫散乱は磁気フラストレーションに起因すると考えられる為,TmB_4の長周期磁気構造の形成及び分数磁化プラトーの出現には磁気フラストレーションの寄与が考えられる.
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