金属ナノ粒子の触媒作用によるシリコンへの細孔形成現象の解明と太陽電池への応用
Project/Area Number |
06J08970
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Nanostructural science
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻埜 和也 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | シリコン / 細孔 / 触媒 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、無電解メッキ法により表面に銀や白金の微粒子(約100nm径)を付けたシリコンウエハを、フッ酸と過酸化水素水の混合液に浸すと、微粒子がシリコン内に沈み込みながら接触部分のシリコンの溶解が起こり、直径100nm程度の直線状あるいは螺旋状の孔が形成されるという現象を見出していた。その詳細を解明することを目指し、特に処理溶液の組成および粒子の組成・形状・サイズの影響について調べ、以下の結果を得た。 (1)液組成の影響 (1)過酸化水素濃度が高いときには、シリコンの結晶方位<100>方向に異方性を持った孔が形成することがわかった。また、濃度が高くするほど、孔形成速度が速いこともわかった。 (2)過酸化水素濃度がとくに高いときには、銀粒子の沈み込みにより形成される異方性の孔以外に、ウエハ表面全体に約10nm径以下の孔径のナノ多孔質層が形成された。このことから、粒子とシリコン接触面では、シリコンへの正孔注入が起こっていることが示唆される。すなわち、正孔はシリコン内部を拡散できるために、接触面から表面まで拡散した正孔がシリコンの酸化溶解を起こし、ナノ多孔質層を形成したのだと考えられ、そして、粒子との接触面においては、鏡像力が働くために、正孔が接触面に引き寄せられ、局所的な酸化溶解が起こっているということが考えられる。その際に、表面の結合状態の違いから、正孔による酸化が最も起こりやすい<100>面が優先的に酸化溶解するために、<100>方向への異方性をもった孔が形成するのだと考えられる。 (3)過酸化水素濃度が低いときには、孔形成速度が低下するのみならず、孔形成方向の異方性がなくなることがわかった。これは、銀粒子の電位が十分に正にならないために、シリコンへの正孔注入が十分に行なわれず、接触面での反応にゆらぎが生じていることが原因だと考えられる。 (2)粒子の組成・形状・サイズの影響 (1)金および白金の場合には、ミクロンサイズの粒子でも、シリコン内に沈み込んで、ミクロン径の孔を形成することがわかった。だが、銀の場合には、ミクロンサイズの粒子は不安定で、銀粒子自体が溶けてしまうということがわかった。 (2)ミクロンサイズの金および白金粒子の場合、粒子が球状の場合には、直線的にシリコン内に孔を形成するが、粒子形状が球からゆがむと、螺旋状に孔を形成するということを見出し、粒子形状の影響を確認できた。
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Report
(1 results)
Research Products
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