不動産物件の構造特性と立地条件を包括的かつ定量的に考慮した不動産価格推定法の構築
Project/Area Number |
06J10503
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Applied economics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 麻理 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 住宅市場 / 価格推定 / 類似度 / 市場細分化 / 地域間比較 |
Research Abstract |
前年度の研究成果である「物件間の類似度関数を用いた住宅価格推定手法」を応用し、物件間の空間的距離の関連について分析した。 従来の鑑定評価においては、近くに立地する物件は物件特性が類似しているという仮定に基づき、比較事例を評価対象物件に地理的に近い地域から選定するのがよいとされている。しかし筆者らのこれまでの研究から、住宅の類似度には立地だけでなく、物件特性も同様に大きな影響を与えるということが明らかになっている。そこで物件評価において地較事例として選択され得る類似度の高い物件はどの程度空間的に近く立地しているのかを実証的に分析した。分析対象地は東京都世田谷区と横浜市青葉区である。 全てのiについて、物件iに対する統合類似度が大きい順に上位5、10、20、50、100、200、500件までの物件を選択し、物件iとそれら物件との距離の平均値を算出する。類似の物件が近接して立地しているなら、統合類似度がより高い物件との距離は短いと予想される。統合類似度が上位の物件を選択する過程は、鑑定評価において類似度の高い物件から比較事例を選択していく手法を擬似的に再現している。 この分析の結果、東京都世田谷区では、類似度が高い物件の地域的な集約度合いは小さいと言え、統合類似度が上位5件までの物件との平均距離でも3,500メートルを超えていることがわかった。この数値は予想していたよりも大きな値であり、従来考えられていた地域よりも広い範囲から取引事例を選択しても差し支えないことを示唆している。一方、横浜市青葉区では統合類似度の高い物件ほど物件間距離が短い傾向が強く、距離が類似度に与える影響が大きいと考えられる。しかしそれでも統合類似度が上位5件までの物件との平均距離は約1,000メートルであった。この距離が短いか否かを一概に判断することはできず、またその判断基準を明確に示した文献等は見受けられないが、おそらく過去の認識からすれば移動時間に換算して徒歩約15分を要する物件が「近くに立地する物件」と判断されることは少ないであろう。したがって横浜市青葉区においても、類似度の高い物件は、従来考えられていたよりも広い範囲に分布していると考えられる。 また、上記の結果を二地域間で比較すると、横浜市青葉区においては、東京都世田谷区よりも物件間距離が類似度に与える影響が大きいといえる。これは東京都世田谷区の住宅地が散発的に開発され多様な住宅が混在しているのに対し、横浜市青葉区では大手デベロッパーによる計画的な沿線開発を中心に住宅地が開発され、建築時期や物件規模、住宅の質等の特性が均質であるためであると考えられる。また、東京都世田谷区では横浜市青葉区よりも鉄道網の密度が高いため、都心へのアクセスのしやる地域間の差が小さいとも推測できる。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)