Project/Area Number |
06J10517
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 弘志 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2006 – 2008
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | π共役系 / 環状二量体 / ホスト-ゲスト化学 / 完全縮環ポルフィリン / 環状二重体 |
Research Abstract |
完全縮環ポルフィリン3量体からなる環状2量体を用いたホストゲスト化学を展開した。環状二量体は3分子の4,4'-ビピリ、ジン(bpy)を内包することを1HNMRスペクトル測定によって確認した。続いて、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行い、bpyの取り込みについて検討した。ホストに対するbpyの当量が2より小さい領域では等吸収点を示さなかったが、bpyの当量が2以上では等吸収点を示す変化を示した。さらに1HNMRを用いた滴定実験を行うことで、系内に生成する複合体の構造に関して詳細に検討した。滴定初期([bpy]/[host]=0-1)では、bpyはホストの真ん中、端の区別なくランダムに結合し、2種類の1:1複合体の混合物を与えた。レかし、興味深いことにbpyの当量をさらに増やしていく([bpy]/[host]=1-2)と真ん中に結合するbpyの量は減少していき、2当量のbpyを加えた段階ではすべてのbpyはホストの両端にのみ結合し、1種類の1:2複合体を与えた。さらにbpyを加えていくと最終的にすべてのホストは1:3複合体を形成した。吸収スペクトルを用いた滴定実験の結果と合わせて考察すると、滴定初期においてはランダムにbpyの結合が起こるものの、1当量を超えてくると互いにbpyが並んだ形での複合体形成を避け、両端にのみbpyが結合した1:2複合体をきわめて選択的に形成することが明らかとなった。 また、計算科学的な手法を用いて、1枚の完全縮環ポルフィリンとピリジンとの複合化に伴う電子状態の変化を検討した。1分子のピリジンが配位すると、直接結合していない別の亜鉛上の軌道が大きく変化することが分かり、その変化は上述した実験結果をよくサポートする物であった。本研究は、特定の配列パターンを自発的に形成するための新しい方法論の可能性を示したものであり、大変意義深いものである。
|