三次元空間の細胞遊走におけるWASPファミリータンパク質の機能解析
Project/Area Number |
06J11066
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research (2007) The University of Tokyo (2006) |
Principal Investigator |
栗栖 修作 The Institute of Physical and Chemical Research, 発生遺伝子制御研究チーム, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 浸潤 / 転移 / Arp2 / 3 / Rho kinase / ROCK / 細胞遊走 / がん / 細胞運動 / アクチン / WASP |
Research Abstract |
がん細胞の浸潤は、細胞外基質中での細胞の遊走現象である。三次元基質下で培養されたがん細胞を経時観察すると、その遊走様式は、線維状アクチンに富む仮足を伸展しながら遊走する間葉性遊走、アクチンの集積の少ない膜ブレビングを足場として遊走するブレビング遊走、この二つの様式を併せ持つ中間型、この三者に分類される。 我々はまず、様々ながん細胞がこの三種の遊走形態に大別できることを見出し、それぞれの遊走形態を司る細胞内シグナルを探索した。従来、細胞遊走は、Arp2/3複合体が重合核となって急速なアクチン重合を引き起こし、それが細胞膜を押し出すことで前進すると考えられてきた。しかし、RNAi法によりArp2/3複合体を発現抑制すると、間葉性遊走は抑制されるのに対し、中間型やブレビング遊走は全く抑制されなかった。一方、ブレビング遊走はROCK/Rho kinase阻害薬で抑制されることが分かった。すなわち、ブレビング遊走はミオシンによる収縮力を駆動力として遊走していると考えられる。当初、中間型はArp2/3複合体やROCKのどちらにも依存しないと考えられたが、遊走形態を観察すると、興味深い観察が得られた。Arp2/3複合体の発現抑制をした場合、中間型はブレビング遊走へと変化し、ROCK阻害薬存在下では間葉性遊走へと変化することが分かった。そして、中間型はその両者のシグナルを同時に遮断したときのみ、遊走が抑制された。 この結果は、がん細胞の浸潤・転移を防ぐためには、Arp2/3複合体によるアクチン重合とアクトミオシン収縮の双方を抑える必要があることを示している。また、ブレビング遊走は三次元培養下でのみ頻繁に見られ、三次元での解析が重要であることを意味する。細胞生物学的には、Arp2/3複合体を介さない遊走が広範に見られ、従来考えられてきた遊走の分子機構に新たな概念をもたらす点で興味深い。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)