Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
平成20年度は以下の研究を行った. 1.九州四万十帯延岡衝上断層周辺に産する鉱物脈に関して,EPMAおよびLA-ICP-MSを用いて主要・微量元素組成分析を行った.その結果,断層近傍のせん断クラックは二価鉄を含む炭酸塩に富み正のEu異常を持つのに対して,開口クラックにはそれらが見られず,せん断クラックと開口クラックの間で,脈を形成した流体の酸化還元状態が大きく異なっていることを明らかにした.延岡衝上断層は,南海トラフ地震発生帯掘削計画(NanTroSEIZE)で掘削予定の巨大分岐断層の陸上アナログとして注目されているが,申請者の研究はそれにとどまらず,断層面の化学環境を本格的に論じた数少ない研究例としても注目されることが期待される. 2.米国アラスカ州Kodiak付加体Pasagshak Point Thrustにて平成18年度に採取した黒色細粒断層岩の微量元素組成分析を行った.その結果,断層岩は周囲のカタクレーサイトと較べてSr,Ba,Laなどの元素に富んでいる一方でRb,Cs,Baなどの元素には乏しく,断層運動時に少なくとも100℃の温度上昇を伴う岩石-流体反応が起こったことを明らかにした. 3.これらの結果を統合し,鉱物脈に富む断層と鉱物脈に乏しい断層について,延岡衝上断層とPasagshak Point Thrustをそれぞれ比較し,それらの産状の違い・発達様式の違い・地震間の挙動の違いが,断層周辺の物質の分布に由来する水理特性に大きくコントロールされているとするモデルを構築した. 4.IODP NanTroSEIZE expedition316で採取したコア試料の微細構造解析を行った.
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