Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
昨年度までのモデル生物を用いた研究から,2つの転写因子Otx2及びSox2が協調的に作用し,Rax遺伝子の発現を正に制御するという機構が明らかになった。Otx2,Sox2及びRaxは全て,人間の重篤な眼の形成不全である無眼球症の原因遺伝子であり,これらのタンパク質とそれらが収斂するシス制御配列が高度に保存されていることから,本研究で明らかとなった転写制御プログラムは,ヒトの無眼球症の原因となっている可能性が考えられる。 転写プログラムを上流で制御するOtx2及びSox2タンパク質は眼だけでなく,脳の原基においても共に発現している。また,これらの遺伝子における変異はヒトの脳の機能へ影響することから,同定した転写プログラムは眼だけでなく,脳の発生をも支配している可能性が考えられた。そこで,哺乳類の脳神経発生系をin vitroで構築し,転写プログラムの包括的な解析を行った。具体的には,マウスの胚性幹細胞を高効率に神経へと分化させたのちに,薬剤誘導を用いてOtx2とSox2の共発現状態を実現した。そして,遺伝子発現の変化をマウス全ゲノムマイクロアレイによって包括的に測定し,統計的に解析した。経験ベイズモデルを用いた解析の結果,数多くの遺伝子の発現がOtx2-Sox2に制御されていることが見出され,さらにこれら変動遺伝子は有意に脳に関する遺伝子オントロジーを有していた。以上のように,同定した転写プログラムを哺乳類in vitro分化系と包括的解析により拡張することに成功したと言える。 本研究から,中枢神経系の発生を制御するWntシグナル伝達系の標的遺伝子同士が密接に関係しあっていること,またその関係が種を超えて保存されていることが明らかになり,細胞外からの情報入力と細胞内での情報調節による神経発生支配が見出された。
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