個体群動態の進化生物学:藻類-動物プランクトン系における実験的研究
Project/Area Number |
06J11752
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 丈人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師
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Project Period (FY) |
2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 国際研究者交流 / アメリカ / 進化 / 個体群動態 / 藻類 / 動物プランクトン / 生態学 / 進化学 |
Research Abstract |
1.振動する選択圧に応答する藻類の迅速な進化の直接観察を実施した。本実験には米国コーネル大学にある連続培養設備を用いた。マイクロサテライト遺伝子マーカーにより識別可能な藻類株を入手し、ワムシの捕食に対する抵抗性と藻類増殖速度を短期実験で評価した。捕食抵抗性と藻類増殖速度にトレードオフ関係のある藻類遺伝型組合せを用意し、ワムシと共に培養して長期にわたり個体群動態を観測すると共に、それぞれの藻類遺伝型の頻度を追跡した。その結果、ワムシによる捕食圧と栄養塩を巡る競争圧の強さに応じて、二つの藻類遺伝型の頻度が変化し、藻類の迅速な進化を直接観測することができた。また、観測された個体群動態と進化動態は数理モデルによる予測とよく合致していた。これらの結果は、進化と生態の両プロセスが似通った時間スケールで進行し得ることを示している。成果は論文として発表した。 2.自然選択の歴史がその後の個体群動態に与える影響を調べた。この実験も、米国コーネル大学の連続培養装置を用いて行った。同一の個体群でも異なる自然選択の歴史を経験すれば、その間に遺伝的組成が変化することにより、その後に見られる個体群動態が全く異なるというJones & Ellner(2004)の理論予測を検証した。同一の遺伝的組成をもつ藻類個体群を捕食圧の異なる条件で飼育し、その後共通の条件に移行したときの動態を長期にわたり観測したが、これまでの理論予測にはない結果が得られた。捕食者であるワムシ密度が大きく振動するのに対して、餌である藻類密度はほとんど変化しないという、奇妙な個体群サイクルが観測された。数理モデルによる解析や他の実験結果の解析を通して、密度-密度のサイクルではなく、密度-性質のサイクルであることが示唆された。成果は論文として発表予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
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