Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,ブーゼマン翼の概念を応用した二枚翼を用いて衝撃波を干渉・相殺させることで,低抵抗・低ソニックブームを実現することを目指しており,大型の超音速旅客機(SST)にも応用可能な革新的空力形状について研究を行っている。本研究は,東北大学21世紀COEプログラム「流動ダイナミクス国際研究教育拠点」で招聘した楠瀬博士の協力のもと,提案した超音速複葉翼理論に基づき実験・数値流体力学による新しい設計技術の組み合わせで,学術的可能性を探ったきわめて独創的な研究である. 本研究2年目の成果として2つ挙げることができる.1つ目は,非対称な超音速機胴体を用いた,ソニックブーム低減技術の検討と,2つ目は,大気乱流効果を考慮したソニックブーム推算手法の高精度化である. 非対称胴体設計の結果,近傍場で非対称な圧力分布を作り出し,地上へ伝播する圧力波を低減させることで,ブーム強度を低減できることが示された.このブーム低減化手法は,実在大気効果とあわせて利用することで,効果的であることもわかった.現在,ソニックブームへの対策としては,機体サイズを縮小することでブーム強度の低減化を行っており,SSTについては抜本的解決策は見つかっていない.本研究で示した,非対称胴体による低ブーム化技術は大型機にも適用可能であり,重要な研究成果である. 一方,ソニックブームは大気中を伝播するため,大気状態から影響を受ける.結果から,一様大気乱流効果によりブーム強度が弱まる確率が高いことが示された.また,ブーム地上到達位置も変化することがわかった.到達位置は,大気乱流無しの場合に比べて,東西方向に約130ft,南北方向で約1000ftで分布することが明らかになった.本来は,飛行実証においてソニックブームを直接計測することが望ましいが,巨額の資金を必要とするため,十分な試験回数を確保することは困難である.従って,大気乱流を含めた実環境を模擬できるソニックブーム伝播解析手法が構築された意義は大きい.この結果は学術誌へ投稿する予定である.以上の結果をもとに,本研究は革新的低ブーム機体設計および,実験・計算を融合させたソニックブームの定量的評価手法の構築を進めていく.
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