Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
鉄鋼スラグ水和固化体は,製鉄の工程で発生する高炉スラグおよび製鋼スラグを主原料に製造される環境負荷の小さい建設材料である。鉄鋼スラグ水和固化体は,産業副産物のみを用い,通常のコンクリートと同程度の20〜50N/mm^2程度の強度発現が可能である。本研究は,環境負荷低減材料として期待される鉄鋼スラグ水和固化体の適用範囲を広げることを目的とするものである。本研究では,鉄鋼スラグ水和固化体とセメントコンクリートとを比較した。その結果,鉄鋼スラグ水和固化体は,結合材に多量の高炉スラグ微粉末を用いるため,通常のセメントコンクリートに比べて,ナトリウムイオンや硫酸イオンに対する抵抗性が高く,セメント量が少ないものは水和熱による熱応力の発生も小さいことを示す。また,多孔質で水酸化カルシウムを溶出する製鋼スラグを骨材に用いるため,水結合材比が小さい配合においても自己収縮ひずみが発生せず,中性化も,天然骨材を用いた場合よりも進行は遅くなることも示した。さらに,弾性係数と圧縮強度の関係および線膨張係数は,セメントコンクリートと同程度であることも示した。しかし,高炉スラグのみを結合材に用いるため,AE剤による気泡がペースト中に分散されないことにより凍結融解抵抗性がAEコンクリートに比べて小さいこと,製鋼スラグが酸に対する抵抗性が小さいため,鉄鋼スラグ水和固化体の酸に対する抵抗性は小さいこと,さらに,吸水率の高い製鋼スラグを骨材に用いるため乾燥収縮ひずみの最終値が大きくなり,また,乾燥収縮ひずみが最終値に達するまで長い時間を要すること等も示した。本研究では,とくに鉄鋼スラグ水和固化体の凍結融解抵抗性の改善方法および鉄鋼スラグ水和固化体の乾燥収縮ひずみの予測手法を示し,リサイクル材料を主原料にした鉄鋼スラグ水和固化体が,一般のコンクリートと同様に建設材料として有効活用される技術を提案した。
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