運動による筋傷害の成因とその予防に対する栄養学的アプローチ
Project/Area Number |
07670084
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Environmental physiology (including Physical medicine and Nutritional physiology)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岸 恭一 徳島大学, 医学部, 教授 (80035435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二川 健 徳島大学, 医学部, 助手 (20263824)
六反 一仁 徳島大学, 医学部, 助教授 (10230898)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 分離大豆蛋白質 / 急性運動負荷 / 筋傷害 / 運動能力 / カルパイン / カルパスタチン / シスチン |
Research Abstract |
我々は、分離大豆蛋白質(SPI)食を与えたラットでは、カゼイン食を与えたラットに比べ急性運動による筋傷害や筋蛋白質の分解が軽度であり、かつトレッドミル走における運動能力が著しく亢進することを見いだした。これらの知見は、良質の蛋白質の摂取により運動後の筋傷害が予防できるという可能性を示唆した。そこで我々は、SPIとカゼインとの質の違い、即ち構成アミノ酸含有量の違いに注目し、運動による筋傷害の成因とその栄養学的な予防法を検討した。 急性運動に伴い産生される活性酸素や活性化される蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)が運動による筋傷害の成因として考えられる。(体重)x(走行距離)が80kg・mとなるように設定した中等度の運動負荷では筋肉内過酸化産物の量は変化しなかったが、血中creatinine phospokinaseと腓腹筋中カルパインの活性はともに上昇した。さらにSPIを摂取したラットの腓腹筋にはカルパインの内在性阻害ペプチドであるカルパスタチンがカゼイン食のそれより多く存在しているため、運動後のカルパインの活性化が認められなかった。これらの結果より、運動後の筋傷害にはカルパインが重要な働きをしていることと、SPI食は筋肉内のカルパスタチンの発現を高め運動によるカルパインの活性化を抑制していることが明らかになった。 一方、SPIとカゼインの質の違いを特徴づけるものの一つにシスチン含有量が挙げられる。SPIはカゼインの約3倍のシスチンを含んでいる。そこでSPIと同じ含有量になるようにカゼイン食にシスチンを添加し、運動による筋傷害への効果を調べた。興味深いことにシスチン添加カゼイン食は運動後の筋傷害、運動能力や筋肉内のカルパインとカルパスタチンに対してSPI食とほぼ同様の効果を示した。以上の研究より、食餌中のシスチン含有量を変化させることにより急性運動後の筋傷害や筋蛋白質の分解を抑制できる可能性が示された。現在、なぜシスチンにこのような効果があるのかを培養細胞を用いて検討中であるが、シスチンを添加した細胞では蛋白質の分解系の抑制だけではなく合成系の亢進を示唆するデータも得られており、今後は転写因子の活性化も含め分子レベルでの作用について研究を進めていく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)