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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
われわれは,ヒト初期胚の分化成熟機構を明らかできる唯一の実験系である多分化能ヒト胎児性癌(EC)細胞(NCR-G3細胞,以下G3細胞)を独自に樹立し,同細胞を用いて分化形質発現の分子機序,分化初期係わる遺伝子の単離およびその機能をin vitro, in vivo実験計で明らかにした. G3細胞のレチノール酸(RA)による初期分化に関連する遺伝子の単離を試みた結果,HSP90, line-1および新たな遺伝子EATの3種の遺伝子を得た.G3細胞は42℃24時間の刺激で,多種の細胞系列に分化することが判明した.特に,栄養膜細胞系への分化が顕著に認められ,形態学的にも合胞体栄養細胞様巨細胞を呈した.同時に,その特異的産生物質であるhCGの産生能がRA添加時に匹敵する程度高いことがRNAおよび蛋白レベルで照明し得た.また,栄養膜細胞への分化に先立ってケラチン8分子がRNA,蛋白レベルで発現亢進していることが明らかとなった.新たな遺伝子EATは染色体上1q21にマップされ,Bc1-2ドメインを有しており,のちにmcl1と相同性が高いことが明らかとなった.また,その構造から細胞死関連遺伝子であることが示唆された.EAT遺伝子のヒト胎児での分布をin situ hybridizationで検索した結果,胎盤,中枢神経辺縁部,腎などで発現していることが明らかとなった.この結果はRNAレベルの発現と一致した.現在,ヒト胎児・成人組織での分布を詳細にしている.さらに,本遺伝子の個体レベルの機能を明らかにするためトランスジェニックニックマウスの作成を試み,2系統を樹立した.遺伝子導入が認められたマウスについて腫瘍発生,形成異常の有無について解析中である.以上の結果,体細胞の発生・分化と腫瘍化の接点に存在するヒトEC細胞の分化機構の分子的機序を明らかにすることができた.
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