Project/Area Number |
07710249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Asian history
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 久美子 名古屋大学, 文学部, 講師 (80252203)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 東南アジア / タイ族 / ムアン / シップソーンパンナー / 盆地 / 灌漑 / 衛星写真 |
Research Abstract |
タイ族は、大陸東南アジア北部一帯においては山間盆地や谷間の平地に居住している。この地域では、遅くとも13世紀までにムアンと呼ばれるタイ族の自律的政治単位が盆地ごとに形成されており、それらが集まってムアン連合をつくる例も多く見られた。ムアン連合の性格、構造的特質を明らかにするためには、その構成要素である個々のムアンの状況を検討し比較しなければならない。本研究の目的は、ムアン連合のひとつシップソーンパンナーにおいて、各ムアンの依拠する盆地開発の歴史的状況がどうであったかを、ランドサットの衛星写真分析によって比較することであった。分析にあたっては、佐藤哲夫氏に様々な面でご指導いただいた。その結果得られた新たな知見の概要は以下のようである。シップソーンパンナー全体を統括する王の直轄ムアン、ムアンチェンフンのある盆地は、流沙河がメコン川に西側から合流する地点に開けた盆地であり、流沙河には北側からナムヒ-川、南側からナムオット川が流れ込んでいる。衛星写真から灌漑用水路の流路をみると、ナムヒ-川から取水してその左岸を南東に流れ流沙河に排水される灌漑用水路は、下流部分が後から延長された可能性が高いことが判明した。また、ナムオット川から取水してその左岸を北流し流沙河に排水される用水路は、盆地南西から流れ込む何本もの小河川を用水路として使っていたのを連結した水路であることが明らかになった。このような水路下流延長部分の建設と連結水路形成には、ムアンチェンフンの統治権力が関わっていた可能性がある。一方、その他の盆地では、下流部が延長された大規模水路や連結水路は見当たらないようであり、ムアン統治権力が水路建設、延長に関わった証拠が認められない。本研究によって、水路建設、延長に関わるという面でのムアンチェンフンの特殊性が判明した。研究成果の一部は文章にまとめたが、まだ雑誌掲載の具体的予定はない。
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