Project/Area Number |
07710270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
考古学(含先史学)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千葉 豊 京都大学, 文学部, 助手 (00197625)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1995: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 縄文後期土器 / 器種構成 / 無文土器 / 注口土器 |
Research Abstract |
本研究遂行のため、3つの目的(器種の編年的系譜的検討・器種構成の定量的把握・後期器種構成の様式論的意義)を設定し、5項目の実施計画・方法のもと研究を行なった.その結果得られた知見は以下のとおりである。 1西日本縄文時代後期土器は、文様の有無と器形を指標に分類すると、文様をもつ深鉢・鉢・浅鉢と文様をもたない深鉢・鉢・浅鉢、縄文や条線文のみで明確な文様意匠をもたない深鉢・鉢が中心となり、これに若干の注口土器が加わって、器種を構成する。以上の器種構成を前段階の中期の構成と比較すると、無文の土器の圧倒的増加と注口土器の出現、後段階の晩期と比較すると、安定した有文深鉢の存在が特徴的である。 2注口土器の出現は後期前葉である。それ以前から注口土器を製作している東日本の影響によって出現すると考えられるが、出現当初から在地的な形態と文様をもっており、搬入的な様相ではないことが明らかとなった。 3無文深鉢や無文浅鉢は中期段階にも存在するが全体の1割に満たず、器種構成の半数以上を占めるまでになるのは、後期に入ってからである。良好な一括資料がないため、なお今後検討を要するする部分も多いが、後期初頭の中津式で爆発的に増加するようである。 4上述の点で注目すべき点は、地域性が存在するということである。すなわち、後期初頭段階で無文土器が圧倒的に増加するのは、瀬戸内と近畿であり、九州で半数以上を占めるようになるのは、後期後葉のことである。 5以上のような検討から、無文土器の圧倒的増加という西日本後期の土器様式は、瀬戸内地方と近畿地方が先進的であることが判明したが、その背景についてはまだ十分に解明できていない。朝鮮半島における有文土器から無文土器への変化と年代的・系譜的・生業的な関連があるのか、追求してゆきたいと考えている。
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