フラーレン化合物における強磁性出現機構の核磁気共鳴による研究
Project/Area Number |
07740264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
齊藤 隆仁 徳島大学, 総合科学部, 助手 (60201505)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | フラーレン / C60 / 核磁気共鳴 / NMR / 超伝導 / 超電導 |
Research Abstract |
代表的フラーレンである固体C_<60>と強い電子供与体であるテトラキス(ジメチルアミノ)エチレン(TDAE)との1:1錯体TDAE・C_<60>において約16K以下で強磁性を示すことが発見されている。本研究の目的はTDAE・C_<60>強磁性の出現機構を解明するために、π電子の状態をより反映すると考えられるC_<60>上の炭素核の^<13>CNMRを測定することにより、その電子状態の知見を得ることである。しかしながら試料の作成が非常に困難であり、本質的な結果が得られなかった。そこで超伝導を示すπ電子系の観点からA_3C_<60>のうち、超伝導転移温度(T_c)と格子定数の関係から重要であると思われる物質Na_2AC_<60>(A=K,Rb,Cs)の^<13>C,^<23>Na,^<87>Rb,^<33>CsNMRを行い、以下の事項を明らかにした。 1.Na_2AC_<60>の^<23>Na信号は核と電場勾配の2次の四重極相互作用により線幅が広がっているが、Cs,Rb,Kの順番に線幅が広くなっていく。この広がりは構造の歪みあるいは常磁性中心の存在によるものである。 2.さらに^<13>CNMRのスピン格子緩和時間(T_1)の測定から状態密度N(E^F)を得た。T_cと状態密度の関係は、BCS理論で期待される傾きより急であることが明らかにされた。したがって、Na_2AC_<60>においては上述の結晶の不完全性が電子状態、そして超伝導性に重要な役割を担っていることが示唆された。 3.^<13>CNMRは低温領域(100K以下)では金属の緩和が主であるが、高温領域(140K以上)ではそれにC_<60>分子の回転による寄与が加わる。この回転運動は、140K以上で1.6×10^<-5>sec以下であり、300K付近では2.4×10^<-9>sec以下であることが明らかにされた。さらに高温相であるfcc構造ではC_<60>分子は金属的性質を持った柔粘性結晶状態であることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)