Research Abstract |
窒化物混晶半導体は,青色-紫外領域の発光材料として有望であるが,一般に行われているヘテロエピタキシャル成長においては基板と成長層の格子不整合,熱膨張係数差による応力の存在や転位の増殖など,デバイスの高性能化を目指すにあたり本質的な問題点を有する. 本研究では,上記に示した問題点を解決するために,有機金属気相成長法(MOCVD法)により窒化物半導体を成長し,ラマン散乱法,フォトルミネッセンス法等の光学評価を用いて,その成長条件の最適化を図った。また,昇華法により成長させたバルクおよび厚膜窒化ガリウム上へMOCVD法によりホモエピタキシャル成長を試みた.その結果,ラマン散乱の偏光選択実験から,ホモエピタキシャル成長膜がサファイア上に成長されたヘテロエピタキシャル膜と比較してその結晶対称性に優れていること,フォトルミネッセンス測定から光学的特性が改善されること,透過型電子顕微鏡観察から転位密度の大幅な軽減がなされることを明らかにした.また,光励起による室温における誘導放出実験を行い,閾値励起光強度としてバルクおよび厚膜考えている試料に対してそれぞれ0.86,1.04MW/cm^2を得た.前者は,サファイア基板上にAINを用いて2段階成長したGaNのそれと同程度である.本実験試料では成長後特別な加工は施しておらず,共振面の平坦性の改善,反射効率の向上化等により閾値励起光強度の低減が期待されると考えている.以上の内容を論文として発表した.
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