Research Abstract |
[目的]電磁成型法とは非加工物の周囲にコイルをおき,このコイルに瞬間的な大電流を通じて,被加工物に誘導した電流とコイル磁場との作用力によって,材料を瞬時に加工する塑性加工技術の一種である.この方法が粉末の焼結に応用できれば,非接触で衝撃的な圧縮力を作用させることができ,本法は新たな粉末の加圧焼結技術の一手法となりうる. 申請者はこの可能性について検討する目的で,電磁力による粉末圧粉体の動的圧縮を試みている.これまでの結果では,圧粉体を仮焼結させ強度,電気電導率を改善すれば,その効果が現れ密度は向上することが明らかになっている.しかし,この結果はあくまでも室温の結果であり,さらに詳細な検討のためには実条件に近い熱間での実験も必要かと思われる.本研究では熱間電磁成形装置を試作し,さらにこの装置によって圧粉体の熱間電磁成形について検討した. [方法](1)実験装置:電気炉と電磁成形装置を組み合わせ,熱間電磁成形装置を試作した.電気炉で加熱した圧粉体をロッドで電磁成形装置まで移動させ,電磁力を作用させる構造とした. (2)試料および実験方法:原料として平均粒径74μmの電解Cu粉末を使用した.この粉末を金型で圧密し,さらに仮焼結したもの試料とした.実験は試料を電気炉に入れ,所定温度まで加熱した.ついで素早く電磁成形装置まで移動させ,電磁力を作用させた.その後寸法,質量,密度を計測して電磁成形の効果を調べた. [結果]600℃で熱間電磁成形したところ,初期密度45%の試料は58%まで,密度63%のものは71%まで密度を高められることがわかった.緻密化に対する諸条件の効果を調べると,電磁エネルギーはエネルギーを高めた方が,コイル通電波形は,周期を短くした方が,また成形温度は高めた方が,試料は緻密化することがわかった.しかし条件次第では試料が割れる,あるいは不均一に緻密するなどの現象も観察された.これらは,おそらくは衝撃波の干渉や反射によるものとも思われる.従って,今後はこうした衝撃圧縮時の諸現象にも注目し,研究を進めるべきと思われる.さらには,圧粉体の動的圧縮挙動を解析するため,圧粉体の圧縮特性,引張特性についても調査を開始した.
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