Research Abstract |
本研究は,野菜が栽培されている畝と畝の間の底を,野菜の育成環境を維持して,移動するロボットの移動技術の開発を目的としている.実際の畝底の三次元地形をロボットが移動した場合に生じる,地面とロボットの駆動輪間のスリップの発生原因には,(1)地面と駆動輪間の接触面が小さくなること,(2)ロボットの重心移動により地面と駆動輪間の接触面圧が減少すること,(3)地面に傾斜が存在すること,(4)地面に土が存在することが考えられる.本年度は,フィールドでロボットの移動実験を行うことを目的として,スリップの発生メカニズムについて解析して,(1),(2),(3)の原因で発生するスリップを防止するために,ロボットの駆動機構を設計した.(1)と(3)の原因を解消する対策としては,傾斜が存在する地形上において,地面の傾斜に対応させて,ロボットの左右駆動輪の角度を変え,タイヤ面が斜面にほぼ平行に接触するロボットの機構を設計した.また,(2)の原因を解消する対策としては,ロボットの重心移動を行う機構をロボットに備え,地面と駆動輪との接触面圧を一定にできる移動機構を設計した.これら設計した機構の一部を試作し,検討を行った.その結果,改良すべき点が見つかった.現在,改良した機構をロボットに用いた場合の,ロボットの運動についてシミュレーションを行い,スリップ防止機構が有効であるかの確認を行っている.今後の予定として,この機構をロボットに組込み,これまでに提案してきた畝底におけるロボットの移動制御の方法への応用の検討や,新たな移動制御方法の考案を行う予定である.さらに,畝間移動ロボットのフィールド実験を行う予定である.
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