Research Abstract |
1.壁体内断熱化および通気機法の検討 (1)夏季の内部結露は構造用木材よりも,湿気容量が小さい断熱材は僅かな含水量でも結露の原因となる。 (2)内装材裏面の防湿(透湿抵抗の大きい壁体)では,夏季の内部結露を助長される。 (3)壁体内部湿度の日較差は湿気容量の増加にともない少なくなり,調湿性材料が夏季の湿害防止に有効である。 (4)冬季内部結露は内装材が透湿する場合でも外装材裏面に通気層を設けることで防止できる。 (5)昼間のみ冷房する間欠冷房では夜間における壁体の吸湿量が多く,材料からの昼間の放湿量が多くなるため,終日冷房に比べて夏季の内部結露が発生しやすい。 (6)壁体内部の湿害を,在来壁体で通年に亘り防止することは困難である。第IV地域における内外透湿抵抗比を1:2であるが,これを在来壁体に適用した場合は,夏季に内部結露が起きる可能性が極めて高い。 (7)在来壁体と比較すると,通気講法の湿害の危険性は冬季・夏季いずれも少ない。しかし,内装材裏面の透湿抵抗が大きい場合は夏季に内部結露を生じるため,例えば福岡で通気講法を採用する場合は,内外透湿抵抗比の2倍以下の仕様が適している。 2.屋根・天井の遮熱および小屋裏の排熱・換気の検討 (1)小屋裏から室内への貫流熱をより削減するには,小屋裏換気あるいは屋根断熱(遮熱)のみでは不十分で,屋根断熱した場合でも換気量を多くする(あるいは断熱強化する)必要がある。 (2)屋根通気の遮熱効果(通気層からの排熱効果)は通気層の換気量の増加にともない向上するが,換気量の少ない屋根断熱による遮熱効果に比べ劣る場合がある。 (3)断熱位置(通気層の上部・下部)の違いによる屋根通気の遮熱効果への影響は僅かである。 (4)通気層の上下部を断熱した屋根通気は少ない換気量でも十分な遮熱効果が得られ,小屋裏から室内への貫流熱が在来屋根の約10%になる。 (5)遮熱性能を合板内側の温度で比較すれば,在来屋根よりも断熱屋根(通湿層無し)で約12℃,断熱屋根(通湿層有り)で約8℃の温度の低下が見られた。
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