Research Abstract |
Act3pに特異性が高く,通常のアクチンや他のアクチン関連タンパク質には反応しない抗体を得るため,Act3pに特異的な挿入アミノ酸配列をコードするACT3遺伝子部分を“QIAexpresssystem"に導入することにより、ヒスチジンのタグ部分を含む融合タンパク質遺伝子をプラスミド上に構築した。このプラスミドを導入した大腸菌を大量培養することにより,Act3p融合タンパク質を得た.この融合タンパク質をNi-NATカラムを用いて精製し,これを兎に免疫することにより,Act3pに特異的に結合するポリクローナル抗体を作製した. この抗体を用い,酵母の抽出液に対してウエスタンブロットを行ったところ,Act3pはSDS-PAGEにおいて55kDaのタンパク質として検出された.これは,アミノ酸配列から予想される分子量54.8kDaに非常に近い値である. 固定した出芽酵母の細胞壁を酵素的に溶解してスフェロプラスト化した後,スライドグラス上で螢光抗体法を行なった.螢光顕微鏡下でAct3pの細胞内局在性を観察し,DAPIによる核の染色と比較したところ,大部分のAct3pが核に存在しいることが示された.このAct3pの核への局在は,酵母から単離した核を用いたウエスタンブロットによっても示された.さらに,酵母からの単離核を,0.5MNaClあるいはDNaselで処理することによりAct3pが核から可溶化することがウエスタンブロットにより示された.これはAct3pが核内でクロマチンに結合して存在していることを示唆しており,Act3pが酵母の生育に必須であることと考え合わせ,Act3pが核内でクロマチンの構築において重要な機能を有している可能性がある.今後,Act3pと相互作用する分子の同定・解析が必要であると考えている。
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