脳性ナトリウム利尿ペプチドによる筋ジストロフィー患者の心機能評価
Project/Area Number |
07770510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
赤池 雅史 徳島大学, 医学部・付属病院, 助手 (90271080)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 脳性ナトリウム利尿ペプチド / 筋ジストロフィー / 心機能 / 心不全 |
Research Abstract |
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)患者において心不全の指標としての血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)濃度の有用性を検討した.対象はDMD55例(年齢8〜32歳)と健常男性34名(8〜64歳)である.これらの血漿BNP値をIRMA法で測定し,同時に血清CK活性値を測定した.心機能検査としては胸部X線像の心胸郭化(CTR),心臓超音波法による左室拡張末期径(LVDd),左室短縮率(FS),心機図によるejection time/pre-ejection period (ET/PEP)などを測定し,骨格筋機能としては下肢機能障害度および%肺活量(%VC)を測定した. DMD患者では血漿BNP値は35.7±14.8pg/ml(mean±SEM)と,健常対照者の4.3±0.5pg/mlに比べ有意に高価であった(P<0.01).DMD患者のうち心不全症状が認められたのは2例のみであったが,19例(32.5%)では対照者の血漿水BNP値の上限より高値であった.また,血漿BNP値はCTRおよびLVDdとは正の相関(それぞれr=0.52,r=0.65)(p<0.01)を示し,FSおよびET/PEPとは負の相関(それぞれr=0.82,r=0.62)(p<0.01)を示した.血漿BNP値は加齢,下肢機能障害度の進行および血清CK活性値の低下に伴い上昇したが,%VCとの間には明かな関係は見られなかった. BNPは心室負荷時に心室筋から多く分泌されるため,血漿BNP値の上昇は左室機能不全を表す指標のひとつとされている.DMD患者の多くには心不全症状はみられなかったが,各種の心機能検査では異常値を示し,血漿BNP値も上昇していた.また,血漿BNP値と各種の心機能指標との間には相関が認められた.DMD患者では経過と共に心機能障害が進行するが運動機能も低下するため,歩行不能期には心臓に対する負荷が軽減し心不全症状が潜在化すると考えられる.本研究はDMD患者における血漿BNP値の上昇が顕性のみならず不顕性の心不全においても有力な指標になることを示唆している.
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Report
(1 results)
Research Products
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