Research Abstract |
表皮水疱症は主に先天性素因に基づき比較的軽微な機械的刺激により粘膜や皮膚に水疱を生ずる疾患で、単純型、接合部型、栄養障害型の3型に分類されている。単純型は特に病型分類は困難であり最近ではKeratin5やKeratrin14などの異常が病因として報告されているが単純型表皮水疱症は極めて稀でありKeretinの異常に関する研究は始まったばかりで少数症例においてKeratin5,14の異常が検討されているのみである。今回の我々は、多数の単純型表皮水疱症症例において免疫組織化学的所見と電子顕微鏡における微細構造の所見を対比することによりKeratin発現の異常を明らかにし、より正確な病型分類を試みた。単純型はDowling-Meara, Koebner, Weder-Cokayneなどに分類されTonofilamentやKeratinの異常が指摘されているが従来の分類に合わない症例も多数報告されている。各種Keratinに対するモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的検索と電顕所見、臨床症状をあわせてKeratinという従来とは異なった側面から単純型表皮水疱症の病型分類を試みた。単純型表皮水疱症15例(Dowling-mera型5例を含む)に関しKeratinl,5,10,14,filaggrin, involucrinモノクローナル抗体をもちい免疫組織学的に患者皮膚における発現を検討した。Dowling-meara型1例のみでKeratin5,14、が基底層から有棘層中層まで、Keratinl、10が有棘層中層より上層に発現されるというKeratin発現の異常が認められた。他14症例ではKeratin発現に正常皮膚と差異が認めなかった。また全例でfikaggrin,involucrinの発現に正常皮膚と差異を認めなかった。電子顕微鏡による精査ではKeratinのclumping (Dowling-meara型),基底層での細胞ちぎれ現象が認められた。
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