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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
A.大腸癌におけるラミニンの発現と予後の検討 1.はじめに:大腸癌の場合,原発巣で癌腺管周囲に基底膜を形成するものは肝転移に有利だと言う報告がある.大腸癌肝転移とLNの発現の関係を検証した. 2.対象と方法:大腸癌手術切除症例197例を対象とし,抗ヒトLN抗体の1次抗体でのABC法で免疫染色した. 3.結果:ラミニンの発現が癌腺管の50%以上に見られるものを基底膜形成癌とした.197例中基底膜形成癌は109例55.3%,非基底膜形成癌は88例44.7%であった.組織型別にみると,基底膜形成癌の割合は高分化型腺癌で63.2%,中分化で54.0%,低分化で33.3%で,高分化のものに基底膜形成癌が多い傾向があった.肝転移のあるものは基底膜形成癌は19例61.3%あり,肝移植のないものでは55.7%で有意差はなかった. 4.考察:これまでの報告では,大腸癌症例のうち基底膜形成癌は1/3〜1/4で,今回の我々の検討では1/2以上の症例が陽性であったのと大きな差がある.これはLNの染色方法(特に前処置と1次抗体の違い)によるものと考えられる.今後方法も検討し,また肝転移巣では大腸癌に限らず,様々な癌でLNの発現を確認する予定である. .肝組織でのラミニンの発現と肝細胞癌の鑑別 1.はじめに:肝組織の線維化に伴い,類洞の基底膜様構造が変化し通常毛細管の基底膜構造に近づくことが知られている.我々はLNの発現が肝細胞における悪性化の一つの指標となるか検討した. 2.対象と方法:切除肝組織65例および肝針生検100例を対象にした.切除肝組織は,結節を有するものは結節部と周囲組織とで別々に評価し,さらに肝細胞癌では同一症例でも分化度が違えば別のものとして統計処理した. 3.結果:切除肝では肝細胞癌中88%でLNの発現が見られた.肝細胞癌以外では硬変肝で再生結節周囲にLNの発現が見られるものの結節内の肝細胞にはLNの発現はない.針生検標本でも良性疾患ではLNは陰性で,肝細胞癌では65.5%でLN陽性であった. 4.考察:高分化肝細胞癌と異形成の強い肝組織とで鑑別が問題になることがLNの発現を調べることにより,特に針生検で診断の決め手となるものと考える.
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