中枢痛の機序解明のための基礎的研究(バクロフェンはなぜ中枢痛に効果があるのか)
Project/Area Number |
07771270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
上田 麻子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30246574)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | GABA / central pain / field potential / spinal cord / baclofen / pain relief |
Research Abstract |
[研究目的]中枢疼痛に、GABABアゴニストであるバクロフェンの脊髄内投与が有効であることをが報告されているが、その作用部位や機序については不明である。本研究は二つの目標からなっていた。一つは、中枢痛の治療としてバクロフェンを安全に使用できるように、副作用の点について検討した。二つ目は、動物実験においてバクロフェンが侵害刺激上行性経路のニューロンに与える影響を解析し、中枢疼痛解明の手掛かりを得た。[研究結果]臨床研究:脳神経センターに入院した中枢疼痛の患者に、本人の受諾を得たうえで、バクロフェンの脊髄内投与を施行し、全例において疼痛の緩和を認めた。同時に観察した体性感覚、運動機能に低下は認めなかった。今回の実験では脊髄投与による副作用の出現は認めなかった。基礎動物実験:ラット、猫の腰部脊髄後角細胞から侵害反応ニューロンの活動を細胞外記録でとり、バクロフェン投与による抑制効果を観察した。末梢皮膚刺激により脊髄で記録される誘発電位は二峰に分離させる(潜時の違いから、early compornentとlate compornent)。太い神経の反応であるearly compornentはバクロフェンにより影響を受けないが、細い神経の反応であるlate compornentはバクロフェン投与にて抑制され、振幅が約20%に減少した。すなわちバクロフェンは侵害反応を伝達する細い神経に対して、より特異的に抑制効果を示したのである。この事からバクロフェンの中枢疼痛への効果の一つは脊髄レベルにあることが判明した。脊髄の、特に持続する侵害刺激反応において、NMDA受容体活性が関与していると報告されている。今回、NMDA投与により発火頻度が増加する脊髄の神経細胞に、あらかじめバクロフェンを投与しておくと反応が抑制された。バクロフェンは脊髄レベルにおけるグルタミン酸を伝達物質とする経路に対する抑制として効果を発現すると推察させる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)