Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
新しい角膜屈折矯正手術法であるGIAK:Gel Injection Adjustable Keratoplastyは,角膜実質内に高分子化合物を注入して角膜表面の曲率半径を変化させる。この方法を人体に応用するには,使用する化合物の臨床的有用性と角膜に対する良好な生体適合性が必要である。そこで,この方法の安全性を評価するために,従来からの化合物とその改良型の2種類を使用して実験を行い,角膜反応の臨床観察と病理組織学的変化を経時的に観察した。 方法:実験動物として白色家兎16羽32眼を使用した。注入化合物として放射線重合された0.8%と1.0%のポリエチレンオキサイド(PEO)使用した。手術は,深さ0.3μm,幅約1mmの切開を角膜に行い,この創からリング状に角膜実質層を剥離し,各濃度のPEOを注入した。コントロール眼では,角膜実質剥離のみを行った。術後1,3,7,14,28,56,84日後に眼球摘出を行い,各時期毎に1眼で電子顕微鏡観察を,3眼で光学顕微鏡観察を行った。角膜細胞の増殖反応を知るために,PCNA(Proliferating Cell Nuclear Antigen)染色も行った。 結果:臨床観察では,2種類のPEO間では角膜曲率の変化やその後の安定性に差はなかった。光学顕微鏡観察では,角膜実質内に炎症細胞の湿潤はみられなかった。術後7日以降,PEOと角膜実質の境界部に類上皮細胞様細胞がみられ,時間の経過と共にわずかに数が増加した。PCNA陽性細胞は術後1〜3日までは切開創周囲でみられたが,その後はPEO周囲での細胞数の増加にもかかわらずほとんど認められなかった。上皮層では,術後1〜7日までは上皮細胞がPCNA陽性を示したが,術後14日以降は陽性細胞はみられなかった。 結語:PEO注入による細胞反応は一過性であり,GIAKは有用な治療法となりうる。
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