Research Abstract |
1.目的 チタンは活性の高い金属であり,チタンにポーセレンを焼付けた場合のチタン表面に形成される酸化膜の厚さはNi-Cr合金より厚く形成される.チタンを金属焼付ポーセレン冠へ応用した場合,ポーセレンの接着強さは他の合金を用いた場合よりも劣るため臨床応用するにはまだ問題があるようである.そこで本研究では、チタンに表面処理を施して,チタン表面に形成される酸化膜を抑制し,チタンとポーセレンの焼付強さを向上させることを目的として実験を行った。2.実験方法 焼付け強さを判定するために揃断試験、引張試験、3点曲げ試験を行った。各試験片はワックスパターンをチタン鋳造、メタル処理後、各種表面処理を施し,チタン専用ポーセレンを築盛・焼成を行って試験片を作製した.チタンの表面処理として酸化パラジウムコーティング(以下:PdO_2)、SiO_2コーティング(シリサイト処理、以下:SiO_2)、チッ化処理(以下:TiN)、チタンアルミライジング処理(以下:AlO_2)を用いた.またコントロールとしてアルミナブラスト処理を施したものを用いた。3.結果及び考察 XMAならびにオージェ分析から各表面処理ともに純チタン上に薄いコーティング膜は形成されていたが、PdO_2では、ポーセレン焼成時、試験片にポーセレンが焼き付かなかった。揃断試験ではAlO_2が最も強く52MPaを示したが、コントロールと有意な差は認められなかった。SiO_2ならびにTiNではコントロールより有意に小さな値を示していた。引張試験ならびに曲げ試験においても同様の傾向が認められた。以上のことからアルミナイジング処理は従来の方法と同程度かそれ以上の焼付け強さを示した。そのうえチタンの耐高温酸化処理であることから、ポーセレン焼成段階におけるチタンの酸化膜の成長を抑制する可能も考えられ、今後は処理条件を変えて、焼付け強さや酸化膜の厚さ等についてさらに検討し、その結果を補綴学会総会等で発表したいと思う。
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