Research Abstract |
下扁平上皮癌77例を対象として、癌細胞の末梢神経湿潤の有無について治療前生検組織ならびに手術切除組織を形態学的に観察した。神経湿潤がみられた症例は19/77例(25%)であった。T分類別にはその頻度に差は認められなかった。分化度別頻度をみると、高分化:19%、中分化:27%、低分化:29%と分化傾向が低い腫瘍で多い傾向がみられた。また、癌湿潤様式別では1型:0%、2型:21%、3型:20%、4C型:46%、4D型:29%であり、湿潤傾向が強くなるに従い頻度が高くなる傾向がみられた。神経湿潤の有無別の局所再発率、リンパ節転移率ならびに5年累積生存率をみると神経湿潤「有り」は各々53%,26%,45%で、「無し」では各々33%,19%,72%であり、神経湿潤「有り」の症例は臨床経過が不良なことが明らかとなった。 コラーゲン増性の程度と化学療法療法効果ならびにsurgical margin(SM)の関係について50例の口腔扁平上皮癌を材料に検討した。コラーゲン(typeI,III)の免疫組織学的所見より、増生の強いp-1,リンパ球湿潤が強いP-2,コラーゲン増生ならびにリンパ球湿潤の程度が弱いP-3に分類された。分化度、癌振潤様式ならびに細胞核DNA量との関連をみると、低分化、高度湿潤、DNA量が多い症例はP-3を示す症例が多かった。化学療法療法効果との関連をみると、効果の著名な症例ではP-1となる症例が多かった。化学療法療法効果ならびに切除物のSMの関係ではSM、positiveであった症例は腫瘍径3cm以上(9/26,35%)であり、化学療法療法後p-3であった症例に多く認められた(8/11,73%)。
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