Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
1.はじめに 本研究は,住居の立場から住民の安全な生活実現を考えるものであり,安全な空間提供の役割を担う「住居」については,非常時における人間が住居を通していかに行動し生活するのかを探るものである。本研究では非常時として釧路沖地震,北海道南西沖地震,北海道東北沖地震,兵庫県南部地震,日本海中部地震を研究対象とし,本年度では「地震時の人間の行動と発生以降の日常生活復旧の過程を明らかにし,市民生活への影響を解明する」「過去の地震体験が当該地震の被害規模に与える影響を解明する」について研究を遂行した。 2.結果 日常生活の復旧・復興過程の考察では,地震被害が比較的大規模であった北海道南西沖地震と兵庫県南部地震を対象に考察した。その結果,地震発生約1年間の生活復興過程は,北海道南西沖地震では5段階に,兵庫県南部地震は6段階に分けることができた。両者の復興過程の内容比較から,兵庫県南部地震の復旧・復興のスピードは遅く,震災後半年経過の状態は北海道南西沖地震の1週間後の状態に相当することがわかった。 また,地震体験が被害規模に与える影響の考察では,北海道地方で発生した釧路沖地震,北海道南西沖地震,北海道東方沖地震,日本海中部地震を対象に考察した。その結果,災害体験にもとづく事前対処は情報伝達・観測体制・揺れ・津波・土砂崩れ・住まい方の工夫などについてなされていた。つまり,建物などのハード面に対する対処と人間の行動などソフト面に対する対策との両面でなされ,被害結果の大小に影響していることがわかった。 3.今後の研究課題 日本はここ数年,兵庫県南部地震をはじめとした大地震が発生している。今後は過去の地震まで遡り,当時の社会・文化を包含した上で生活と住民に地震被害が与えた影響を考察する予定である。また,歴史的変遷の視点からも考察し,今後われわれが地震災害に対して備えるべき知見を得たいと考えている。
|