Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
フッ素原子を含む化合物はフッ素原子の特異的な性質から強い生理活性や物性を示すことが知られている。このため,含フッ素有機化合物は農薬品のおよそ40-50%,医薬品の20-25%を占めていると言われている。中でも不斉中心にトリフルオロメチル基を持つ化合物は生理活性物質に多く見られ,不斉合成法の開発が強く望まれている。そこでトリフルオロメチル基を含むビルディングブロックであるα-トリフルオロメチルアクリレートに注目した。本試薬は市販されており容易に入手可能で,電子求引性基であるトリフルオロメチル基により強力に活性化されている。このため様々な求核種と反応し,標的分子に対して効率的にトリフルオロメチル基を含むユニットを一挙に不斉導入可能であると考えられる。まず不斉発現の実績のあるキナアルカロイドを触媒に用い,β-ケトエステルとの不斉Michael反応を検討することとした。基質としてtert-butyl 1-oxo-indan-2-carboxylateを用いてジクロロメタン溶媒中10mol%のキナアルカロイド存在下,室温にて触媒の検討を行った。反応は円滑に進行し,キニジンを用いたときジアステレオ比56/44,エナンチオ選択性68%ee/67%eeで目的付加体が得られた。そこで,シンコニンを用いたところ選択性の向上が見られジアステレオ比79/21,エナンチオ選択性86%ee/65%eeを与えた。さらに-80℃にて反応を行うことにより,ジアステレオ比85/15,エナンチオ選択性93%ee/83%eeと最も良い結果を与えた。一方,シンコニジンを用いることで逆のエナンチオマーを86%eeと高立体選択的に得ることに成功した。
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