循環調節中枢における炎症反応と本態性高血圧発症との因果関係
Project/Area Number |
07F07458
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Environmental physiology (including Physical medicine and Nutritional physiology)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
前田 正信 Wakayama Medical University, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GOURAUD Sabine S. 和歌山県立医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2007 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 孤束核 / 高血圧 / 炎症反応 / 神経科学 / サイトカイン / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本態性高血圧症(以下、高血圧症と略す)は心疾患、脳卒中および腎不全などのリスクファクターであり、その発症機序解明は極めて重要な課題である。我々は、孤束核(NTS、循環調節中枢の一つ)の炎症反応異常が高血圧発症の一因であると考えている。この仮説を検証することを目的に以下の実験を行った。 高血圧症のラットモデル(SHR)およびそのコントロール(WKY)のNTSについて、リアルタイムPCRにより遺伝子発現レベルを、ウエスタンブロッティング法により蛋白質発現レベルを、そして免疫組織学的手法を用いて蛋白質発現の局在を調べた。また、麻酔下ラットのNTSに標的分子を微量注入した時の血圧変化について観察し、その分子の血圧調節に関わる役割について調べた。 一連の実験系により、SHRのNTSではケモカインの一つであるCcl5とその受容体(Ccr1とCcr3)の遺伝子・蛋白質発現が高血圧発症前から低下していることが明らかとなった。また、Cc15受容体はNTS内では主として神経細胞に発現していること、Ccl5はNTSにおいて降圧作用のあることなどが明らかとなった。 以上より、SHRのNTSでは炎症反応関連因子に発現異常が見られ、そのようなプロファイルが高血圧発症の一因となっている可能性が示唆された。注目すべき点は、異常発現と言っても発現過剰'ではなく、むしろ`減弱'であった。一部のケモカインは正常な脳でも発現しており、神経細胞の発達に重要な役割を担っていると報告されている。恐らくCcl5もその様な役割を持っており、Ccl5や関連分子の発現低下は循環調節中枢の正常機能発揮に悪影響を及ぼしていると考えられた。また本研究により、SHRのNTSでは複数のアポトーシス関連遺伝子も異常発現していることが明らかとなった。今後はこれらの所見も併せ、高血圧発症の中枢性機序の詳細を細胞レベルで明らかにして行く予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)