Project/Area Number |
07J00124
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片山 新也 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 擬二次元有機導体 / ディラック粒子 / ゼロギャップ状態 / アニオンポテンシャル / 局所磁化率 / 核磁気緩和率 / スピン密度波 / 電荷不均化 |
Research Abstract |
α-(BEDT-TTF)_2I_3塩は圧力下でブリルアンゾーンのある二点をディラックポイントとする、質量ゼロのディラック粒子をもつ。すなわち、伝導バンドと価電子バンドの間のエネルギーギャップがゼロとなっている(ゼロギャップ状態)。バルクな物質で上記の性質をもつため、その特性について興味深い物質である。本研究の目的は有機導体におけるこのゼロギャップ状態の性質を明らかにすることである。本年度は下記の研究成果を得た。 (1)アニオンポテンシャルの効果 アニオンであるI_3は1価の陰イオンとして閉殻を作っており、この陰イオンがET分子の位置に依存するクーロンポテンシャルを伝導電子に及ぼしているものと考えられている。この効果が電子状態にどう影響するのかを理解するために、アニオンポテンシャルを外部パラメータとして計算を行った。ポテンシャルが強いとディラックポイントが移動し、ゼロギャップ状態は壊れる。しかし、アニオンポテンシャルが弱い範囲ではゼロギャップ状態は維持され、電荷不均化も実験結果と同様の順序となっている。この研究成果はJournal of Physics:Conference Seriesに掲載された。 (2)磁気的性質 最近、ゼロギャップ状態における有機導体の磁化率や核磁気緩和率が測定されるようになり、そのふるまいについての理論的解釈の必要性も増してきた。計算の結果、局所磁化率は温度に比例し、核磁気緩和率は温度の3乗に比例することが判明した。これは、状態密度の特異なエネルギー依存性によって理解することができ、高温(10K以上)での実験結果と一致している。この成果はThe European Physical Journal Bに掲載された。
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