蛋白質輸送機構とATP加水分解反応との共役機構の解明
Project/Area Number |
07J00337
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Structural biochemistry
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
風谷 謙一 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2007 – 2008
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 電子顕微鏡 / 生物物理 / べん毛 / エネルギー変換 / 自己構築 |
Research Abstract |
昨年度の研究から、ATP加水分解酵素FliIはATPの結合でリング状複合体を形成することがわかったが、その生理的意義は不明のままであった。そこでリング形成に関わる変異体を作成し、その性質を調べた。電子顕微鏡観察および酵素活性測定を行った結果、(ア)リング形成能を失いATP加水分解能も著しく低下したもの、(イ)リング形成能は保持するがATP加水分解能を著しく失ったもの、(ウ)リング形成能が低下し、その結果ATP加水分解能も低下するもの、の三つに分類された。つぎに、それらの変異体のin vivoでの機能解析を行った。まず野生株において上記変異体を発現させると、(ア)(イ)(ウ)全てで運動能の阻害が観察された。しかしながら、FliIの酵素活性を制御するFliHが存在しない場合、運動能の阻害は見られなかった。この結果は、ATP加水分解反応で生じるエネルギーがFliHを輸送ゲートから解離させるのに使われるという説を支持するものであった。次にFliIおよびFliHの欠損株において、(ア)は運動能が著しく失われていたままであったが、(イ)と(ウ)は運動能の部分的な回復が観察された。これまでの遺伝学的研究から、FliIは輸送基質を輸送ゲートまで運び、基質のゲートへの挿入を担っていることが提唱されている。リング形成能を維持するものは、FliH欠損を部分的にバイパスできたことから、FliIはリング複合体を形成することで輸送基質を効率的に輸送ゲートに挿入しているものと示唆された。(イ)や(ウ)は野生型FliIに比べて運動能が著しく低下していた。このことから、FliIによるATP加水分解反応によって輸送ゲートが効率よく開き、その結果輸送基質蛋白質の輸送ゲートへの挿入が促進されることが示唆された。以上よりATP加水分解反応のサイクル依存的な蛋白質輸送機構のモデルを提唱することができた。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)