軌道縮退を有する強相関電子系における秩序状態と臨界現象の解析
Project/Area Number |
07J00886
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲葉 謙介 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 軌道自由度を有する強相関電子系 / 光格子中の冷却原子 / 超流動・絶縁体転移 / フラストレーション / 軌道依存モット転移 / 光格子 |
Research Abstract |
1.近年、遷移金属をはじめとする軌道縮退を有する強相関電子系は、実験・理論両面から活発に解析が行われている。このような系では、強い電子相関によって誘起されるスピン・電荷に加えて、軌道の揺らぎが存在するため、非自明で興味深い様々な物性が期待される。中でもCa_<2-x>Sr_xRuO_4等で指摘されている軌道依存モット転移の反強磁性や強磁性秩序等の秩序状態に対する安定性を解析する必要がある。本研究では、前年度までに、軌道依存モット転移に関して解析を行ってきた。しかしながら、これまで行われている理論的解析は、主に空間揺らぎを無視する近似の元行っている。現実の物質において、空間揺らぎは、しばしば興味深い現象を引き起こすことが知られている。そこで、本年度は、これまでの解析を、空間揺らぎを取り扱えるように拡張した。まず、フラストレーションを有する強相関電子系における有限温度のモット転移が、空間揺らぎの影響でどのように変化するか解析を行った。得られた成果は日本物理会等で発表した。更に、昨年度から本年度にわたる本研究の進展をまとめたレビューを物性研究に投稿した。 2.近年、強相関系の新たな研究舞台として冷却原子を光学格子に閉じ込めた光格子系が注目を集めている。レーザーで作成した人工的な周期ポテンシャル中に原子をトラップすることで、人工的に金属中の電子の状態を記述することができる。この人工的な格子は、格子間隔などを自在に制御できるため、量子シミュレータとして期待されている。ごく最近、この系で観測された超流動-絶縁体転移において軌道自由度が重要になる事が指摘された。そこで、光格子系において軌道自由度が系にどのような影響を与えるかを解析した。その結果、光格子中の引力ハバード模型において、軌道自由度の影響によってモット転移が誘起される事が分かった。この結果は、学術誌Physical Review Aに発表した。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)