Project/Area Number |
07J01056
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 章弘 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教
|
Project Period (FY) |
2007 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 一重項ビラジカル / フェナレニル / 不対電子 / 分子集合状態 / 分子間相互作用 / 電荷移動 / グラフェン / 量子化学計算 / 偏光反射スペクトル / 電子構造 / π共役 / FET / 二光子吸収 |
Research Abstract |
一重項ビラジカルの単分子および分子集合状態での電子構造を詳細に解明するために研究を行った。まず単分子の研究として2つのフェナレニルを有する3種類のπ共役分子の物性を詳細に調査した。一光子および二光子吸収、三重項状態のエネルギーから、一重項ビラジカル性を初めて実験的に決定した。次に分子集合状態の研究として3種類の分子の不対電子の分子内と分子間の相互作用の相対的な強度を調査した。電子スペクトル、磁化率測定から、いずれの分子も分子内よりも分子間に強い相互作用を発現することを明らかにした。単分子で不対電子が分子内で相互作用している分子が、分子集合状態で分子間にさらに強い相互作用を生み出しており、一重項ビラジカルの特異な電子構造を実験的に捉えることに成功している。一連の研究をさらに発展させるために、次元性の向上を目的としてアルキル鎖を導入した分子の合成にも成功した。結晶中ではフェナレニル部位での軌道の重なりは見られず、アルキル鎖間の相互作用が支配的であった。結晶構造を強力に支配すると考えていた不対電子の分子間相互作用が、アルキル鎖間の相互作用程度で遮断できることを示す結果であり、分子間相互作用を制御するための一つの知見が得られた。強相関係に起因する物性の発現を目指して研究した電荷移動錯体の合成では、様々な電子アクセプターとの電荷移動が確認され、現在結晶化の条件を検討している。さらに一重項ビラジカルの電子構造の一般性を理論的に明らかにする目的でグラフェンナノリボンの量子化学計算を行った。グラフェンナノリボンも一重項ビラジカル性を有しており、不対電子はアームチェアー端には現れず、ジグザグ端のみに現れることを明らかにした。不対電子の現れる位置はClarのSextetで説明でき、電子構造が容易に予測できることを示している。以上の研究から一重項ビラジカルの電子構造を実験的かつ理論的に詳細に解明した。
|