Project/Area Number |
07J01982
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川北 篤 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | コミカンソウ科 / ハナホソガ属 / 絶対送粉共生系 / 進化的安定性 / 捕食寄生者 / カンコノキ属 / オオシマコバンノキ属 / コマユバチ |
Research Abstract |
コミカンソウ科の一部の植物の花は、それぞれに種特異的な種子寄生者であるハナホソガ属の雌成虫によって送粉されている。ハナホソガは送粉に際し花に卵を産み付け、孵化した幼虫は種子の一部を食べて成熟する。このように両者は互いに繁殖を強く依存しあった共生関係を結んでいるが、こうした関係が進化的に維持されるためには、ハナホソガの幼虫が種子を食べ尽くさないための何らかのメカニズムが必要であると考えられる。コミカンソウ科-ハナホソガ属間における絶対送粉共生系が、どのような機構のもとで進化的に安定に保たれているかを明らかにするにあたり、今年度はハナホソガの幼虫の様々な死亡要因を特定した。日本産コミカンソウ科植物4種(カンコノキ、ウラジロカンコノキ、カキバカンコノキ、オオシマコバンノキ)の果実を野外で採集し、ハナホソガ幼虫の生存に大きく関わっていると考えられる捕食寄生者群集を明らかにした。その結果、コマユバチ科、シャクガ科、ハマキガ科、シンクイガ科の様々な昆虫がハナホソガ幼虫の死亡要因となっており、これらの存在がハナホソガ個体群の調節に強く関わっていることが示唆された。またマレーシアサラワク州ランビル丘陵国立公園周辺に生育するコミカンソウ科植物9種についても同様の採集を行い、ハナホソガ幼虫の死亡要因となりうる昆虫群集が地理的、系統的に幅広く普遍的に存在することを明らかにした。今後はこれらの捕食寄生者が、コミカンソウ科植物の種子の残存にどの程度の影響を与えているかを明らかにしていくことで、コミカンソウ科-ハナホソガ属間の絶対送粉共生系が何百万年もの間、進化的に維持されてきた背景を明らかにしていくことができると考えている。
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