Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
哺乳類の鋭敏な聴覚は,内耳に存在する外有毛細胞(OHC)の伸縮運動に起因する.この運動能は細胞側壁に存在する膜タンパク質プレスチンの構造変化で実現されると予測されている.プレスチンは,ATP非依存,〜100kHzに及ぶ周波数応答性を持つなど高機能モータタンパク質としてこれまでにないユニークな特徴を有しており,理想的なバイオアクチュエータの材料として工学分野への応用が期待できる.この実現のためには,プレスチンの詳細な立体構造の解析と構造変化メカニズムの解明が必要不可欠である.そこで本研究では,立体構造の解析に向け,プレスチン発現チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用い,原子間力顕微鏡(AFM)と半導体量子ドット(Qdot)を組み合わせた免疫原子間力顕微鏡法について検討し,その手法を用いてプレスチンの微細構造の可視化を試みた.まず超音波破砕法によりプレスチン発現CHO細胞の細胞膜を基板上に単離し,抗プレスチン一次抗体およびQdot標識二次抗体でプレスチンをラベリングした.次にQdotが発する蛍光でプレスチンの存在を確認後,AFMでその部位を観察した.Qdotは直径約8nmの硬い半導体材料であるためAFMで容易に観察可能である.プレスチン分子はQdot近傍に存在するため,これによりその位置が特定できる.確認したプレスチン一分子をより高解像度で観察し詳細な構造の解析を行った.その結果,Qdotの直近に4つのPeakと中央に一つのくぼみを持つRing-likeな構造が観察された.これは,プレスチンがCHO細胞の細胞膜中で,4量体で存在していることを示唆している.さらに,観察されたRing-like構造物の直径の分布を調べた結果,9.6nmおよび13nmに2つのピークが観察された.この結果は,プレスチンが小さな状態と大きな状態の2状態をとることを示唆している.
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