Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
研究目的と方法:複数の核遺伝子マーカーを用いて、汎熱帯海流散布植物のオオハマボウと近縁種の分化過程の解明することを目的とした。 研究成果: 1.タイ、シンガポール、インドネシアで汎熱帯海流散布植物の遺伝子解析用試料の採集と研究ネットワークの形成をおこなった。 2.世界各地のオオハマボウと近縁4種の合計40集団300個体について、核の3遺伝子座(GBSSI,Aat,CesA)の塩基配列の決定と系統学的・集団遺伝学的解析をおこなった。3つの遺伝子座はいずれの種においても中立進化からは大きく外れておらず、本種において集団のデモグラフィーを検出するのに適したマーカーであることが示唆された。種ごとの遺伝的多様性を塩多様度(π)と集団突然変異率(θ)で比較したところ、小笠原諸島固有種のモンテンボクの遺伝的多様性は著しく高く、オオハマボウにも匹敵する程であった。海洋島の固有種が推定母種(あるいは姉妹種)である広域分布種と同程度の遺伝的多様性を保持している例は、これまでほとんど報告されていない珍しい現象である。対立遺伝子のネットワーク図では、オオハマボウのハプロタイプが内部(interior)に、近縁4種のハプロタイプが末端(tip)あるいは末端近くに位置するという傾向が見られた。この結果は、オオハマボウを母種として複数の種が分化してきたというこれまでの仮説を支持する。しかし、モンテンボクの対立遺伝子はネットワーク上の複数の箇所に出現することから、オオハマボウとの過去の遺伝子流動の影響、あるいは小笠原諸島に侵入後も十分な集団サイズが維持され祖先多型が維持されたことで、現在の高い遺伝的多様性が保持されていると結論づけた。 3.オオハマボウらとの遺伝構造の比較のため、マングローブ植物のオオバヒルギ属の遺伝構造の把握を行い、新大陸の東西の明瞭な遺伝的分化や、長距離種子散布後の近縁種間での遺伝子流動など、オオハマボウの系と共通のパターンを見いだした。
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