Project/Area Number |
07J02908
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ語系文学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
数森 寛子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 文学 / フランス / 19世紀 / ヴィクトル・ユゴー / 廃墟 |
Research Abstract |
ヴィクトル・ユゴーの作品に見出される廃墟と破壊のテーマを詳細に分析した。本年度の研究は大きく二つの切り口から進められた。第一に、人間による都市の破壊の表象、第二に、文学作品を通じて提示される、作者の自然災害に対する解釈である。 第一の観点に関しては、同時代の作家の作品との比較を通じて、この主題を歴史的、社会的文脈の中に位置づけ直すことを試みた。ニゴーの作品における廃墟や破壊の描写は、根底において、革命や戦争による破壊、都市改造による古い街並の消滅という、時代の現実との連関のうちにあり、これら歴史的破壊の経験に対する、作家の思索を反映していることを確認した。フランス革命以降、歴史の展開は急激に加速する。ユゴーはそれをとりわけ、古いパリの街並が破壊され、新しい建物が次々と建設される事態を通じて感知する。廃墟は、他の事物の持続を遥かに超えて存在しつづける過去の遺物であると見なされるが、こうした時代状況の中で、廃墟の存在そのものがすでに不可能なものとなっていたのである。廃墟の消滅という主題は、記憶の危機を示すと同時に、かつて廃墟が表象していた文明の死を超克するものでもある。本研究は、作家が、繰り返される建造物の解体と再構築、都市の死と再生の運動の中に、文明の生命と連続性そのものを見出していることを明らかにした。 第二の観点からは、ユゴーの作品、特に詩と小説に多く見出される、洪水の主題に焦点を当てた。19世紀には、自然災害としての洪水は、旧約聖書に描かれるノアの大洪水と常に結びつけられて語られる。そして興味深いことに、革命の主体としての民衆もまた、押し寄せる波のイメージに同一化されるのである。本研究では、初期詩作品から最晩年の作品までを視野にいれ、洪水に関する言及を網羅的に抽出したうえで、時代の変化に伴うこのテーマの発展を精査した。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)