植民地教育における権力のずらし-台湾高地先住民タイヤル族女性の植民統治経験
Project/Area Number |
07J02977
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology of education
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 美貴 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2007 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 先住民 / 女性 / 植民地 / 台湾 / 先住民女性 / 教育 / ジェンダー / まなざし / 博覧会 / 和服 / エリート / 同化 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に台湾で蒐集した史料・資料の整理およびインタビューをもとに、研究を進めてきた。そこで注意しなければならないのは、昨年明らかとなった「教導」という意味での教育、そしてそこにおける女性の主体性であった。 この点を踏まえ、今年度はとくにタイヤル女性が和服を選択するということについてその意味を明らかにすると共に、その際判断の基準となる先住民社会と日本(総督府)との位置の関係について考察した。というのも、先住民が日本式教育を受けるようになる、受けたがるという出来事の背景には、日本を優位とみなす立場が無ければ出現しない選択と思われるからである。 そこで社会学会では先住民と日本・日本人の関係性を「民族階層」と名づけ、それがどのように形成されたのかを明らかにした。この過程を明らかにすることは、直線的な歴史観への疑問提示であり、かつともすれば暴力という一言だけで語られてしまう植民統治内において、どのような先住民が可能性を秘めた抵抗をしていたのかを明らかにすることである。そこで明らかとなったのは、日本を敵視する文脈から、日本を「便利」なものへと見方を変える行為の出現であった。だがそれは、日本の優位性を認めたうえでの「便利」認識である。したがって女性たちの和服着用は、単なる流行でも、統治者側からの強制でもなかった。それは、優位民族に近づくこと、さらには日本人警察官との婚姻を通じてその優位と目された立場へ参入する欲望を表象したものなのであった。 以上のことから、日本を優位とみなす「民族階層」が出現が明らかとなったが、それこそが教育を「積極的」に受け入れてゆく基盤なのであった。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)