Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
最近、申請者は同位体顕微鏡を用いて炭素質コンドライトAcfer 094から太陽系で最も17Oと18Oに富む物質を発見した。同位体顕微鏡とは、二次イオン質量分析装置と独自開発の二次元イオン検出器を組み合わせた、固体表面微小部分の同位体比変動の空間分布を分析可能な装置である。この物質の酸素同位体組成は、原始太陽系星雲の始源水を反映していると示唆されており、その存在の普遍性を調べることは初期太陽系形成時の物質進化を解明する上で重要である。本研究では、同位体顕微鏡を高感度化したシステムを開発することにより、他の隕石においてこの物質を迅速に探索することを目的としている。高感度化のために、検出器の蓄積信号を複数回読み出して平均化処理を行う読み出し方式を採用し、読み出しノイズxの低減を図った。その結果、読み出し回数に応じてノイズが低減され、この方式が有効であることを確認できた。また、信号強度が微弱な場合の読み出し方式を確立し、最適な読み出し回数を定式化した。これらの読み出し方式を最適化するための新しい制御システムを開発した。このシステムでは、必要な全てのモジュールが同一の工業用シャーシに格納され全てLabVIEWソフトェアで制御しており、駆動パルスの生成コードのVHDLからLabVIEWへの移植、駆動電圧の変更を容易にしたことにより柔軟な分析の最適化が可能となった。このシステムを同位体顕微鏡に取り付けて動作することを確認した。17Oと18Oに富む物質は磁鉄鉱と硫化鉄から構成されるが、Acfer 094には磁鉄鉱がほとんどない。そこで、11種類の隕石について電界放出型電子顕微鏡を用いて観察し、各隕石に含まれる磁鉄鉱と硫化鉄の比率の違いから分析候補を選定する指標を得た。
All 2007
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)
Science 317
Pages: 231-233