シナプスにおけるNMDA受容体の動的集合機構の解明:1分子観察法による研究
Project/Area Number |
07J03337
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 賢治 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2007 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ラフトマイクロドメイン / NMDA受容体 / シナプス / 1分子追跡法 / ラフト / アクチン膜骨格 / GPIアンカー型タンパク質 / ホップ拡散 / 高速1粒子追跡 / 蛍光1分子追跡 / 細胞膜 |
Research Abstract |
本研究の基盤的知見を得るため、細胞膜上でのリン脂質分子DOPE、DMPE、DPPEやラフト親和性分子Bodipy-Cholesterolを、1分子追跡法を用いて観察した。その結果、時間分解能33ミリ秒でも、20マイクロ秒でも、脂質依存的な数百ナノメートルの大きなラフトは観察することはできなかった。また、すべてのリン脂質はラフト依存的ではなく、アクチン依存的にホップ拡散運動していることを明確に示すことができた。また、ラフト観察に頻繁に用いられている従来の化学固定法では、シナプスに存在するラフト分子は固定することができないことを示すことができた。すなわち、細胞膜の細胞質側にあるLynやCbpなどのタンパク質は、典型的な固定条件である『4%パラホルムアルデヒド(PFA)溶液で30分』では1分子の運動は95%以上止まるが、ラフトやシグナル伝達に関わるGPIアンカー型タンパク質は40%以上がまだ運動していた。さらに3.6%PFA+グルタールアルデヒド(GA)0.1%溶液で30分処報しても、約30%の分子がまだ動いていた。そして、これらのラフト分子を90%以上固定するには、3.6%PFA+GA0.2%溶液で90分処理しなければならないことを世界で初めて示すことができた。さらに、抗体によって膜分子のクラスター化を誘導してしまう可能性についても検討した。すなわち、ラフト親和性分子であるGPIアンカー型タンパク質や、H-Rasを、4%PFAで30分間固定後に1次抗体-2次抗体でそれぞれラベルすると、抗体でラベル前に比べて、それぞれ3.7倍~6.6倍、2.3倍~3.3倍もクロスリンクされることが初めてわかった。これらの結果は、これまで頻繁に用いられてきた通常の架橋条件では、固定が不完全でアーチファクトを誘起している可能性が非常に高く、この40年くらいの研究結果の多くに見直しが必要なことを示すことができた。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)